財団趣意書 人同士が心を通わせる大切なコミュニケーションとして、食は重要な役割を持ちます。日本においては、2013年の「和食」のユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、独特の食文化が世界的にも注目されています。 また、世界のパイも文化や風土と共にありました。行事や祝祭の歴史的な風土、家庭での食のコミュニケーションなど幼い頃からその地域や暮らしと密接に関わっており、世界中のパイ料理は食卓を囲むことで人が繋がり、身近で多くの楽しさや驚きを包み込んできました。このようにパイは「あらゆる食の魅力を最大限に引き立て、人々の食卓や暮らしに豊かな彩りを与えることができる」との想いから、本財団を設立しました。 一方で、現代では食のグローバリゼーションが進む中、生活者価値観の多様化、高齢化と少子化、社会的意義のある持続化、人間社会と環境の共存など、さまざまな社会問題が山積しています。食問題においても風土や社会への慈しみが求められ、食資源の枯渇やフードロス、飢餓問題などの新たな課題を早く解決することが求められています。 南北に⾧く四季があり、海に囲まれている日本には、独自の豊かな風土、人びとの精神性、歴史に根差した多様な食文化が存在しています。 元々、日本の食文化は、風土、食材素材、調味料、調理法、道具、様式や作法などこれらの様々な要素が組み合わさり、食を囲むその情景まで大切な文化とされてきました。このような多面的な食文化を併せ持つ日本であれば新たなパイ文化を生み出し、山積している社会課題を解決しながら、人と人の豊かなコミュニケーションを創り出せると考えています。 パイを知り、創り、食べる。パイにはその人の数だけ物語が生まれます。そして、すべての人を幸せにする無限大の可能性を秘めています。本財団は、自然を敬う日本の食文化とともに新たなパイ文化を創造し、より人々の豊かな食生活の実現に貢献したいと願っています。